こんにちは、cianaです。
この冬旅したドイツ・スイスで各地の教会を見てまわるうちにイタリアではおなじみのド派手な天井画や祭壇がこちらではちっとも見られないのに違和感を感じて、カトリックの教会とプロテスタントの教会の違いについて調べてみたくなりました。
私が何となく知っていたのは、カトリックの教会は豪華な装飾が施されているけどプロテスタントの方はそうでない、ということだけ。
そんな折に訪ねたチューリッヒの聖母教会(フラウミュンスター)で、この教会の歴史とからめてとってもわかりやすい説明を聞くことができたので、メモしておこうと思います。
宗教改革と教会の内部装飾の撤廃
この教会、外から見ると壮麗なのですが、中に入ると絵画どころか十字架の飾りすらなく、えらくこざっぱりとしています。
ところが9世紀半ばに建てられた時点では、窓も天井の梁も鮮やかに装飾され、壁は金・銀・銅で埋め尽くされていたそうなのです…。
一体、この間に何があったのでしょうか。
答えは16世紀に起こった宗教改革。
聖書のドイツ語訳をした神学者ルターが有名ですね。
チューリッヒの改革者たちは、聖人を偶像で表現することに対して批判的でした。
モーセの石版で有名な旧約聖書の十戒に「如何なる偶像も作ってはならない」とあるからです。
この考えが浸透していったことで次第に教会内の宗教的アートが破壊されるようになり、ついに説教者フリードリッヒ・ツヴィングリによって絵画、聖壇、装飾の組織的撤廃が決定されました。
こうして芸術作品の極めて少ない空間となった聖母教会。
おそらく他のプロテスタント教会も、同じような道を歩んだのでしょう。
各宗派によって、教会の中心となるものが違う
興味深いことに教会内部では、宗派によって核となる要素が異なるのだそうです。
- カトリックの教会の中心は聖壇。
- 正教会の中心は聖画。
- プロテスタント教会の中心は講壇。
聖壇は聖なる道具を置く机。
聖画は正教でイコンとも呼ばれます。キリストとマリアなどが描かれている、宗教的な絵画です。
講壇は聖職者による説教が行われる場所。
なぜ、プロテスタント教会では講壇が大事なの?
プロテスタント教会では、宗教改革後に講壇の重要度が増すようになり、次第に大きなものへと作り変えられていきます。
どうして講壇が大事なのでしょうか。
講壇は説教をする場、つまり聖書にある神の言葉を、聖職者が時代向けにわかりやすく翻訳する場所です。
プロテスタントでは「聖書は信仰生活のすべての基準であり規範である」とされ、法王をトップに据える教会組織よりも聖書そのものに重きをおくため、聖書と向き合う場を重要視しているのです。
最後に
懺悔室の有無、十字架のスタイルなど他にも細かい違いはあるようですが、ひとまず聖母教会で学んだことの一部をまとめてみました。
面白いテーマなので、また改めて詳しく調べて記事にしてみたいです。
宗教改革後、どれだけの作品が棄てられてしまったんでしょうね。
私は絵を見るのが好きなので、その点については少し残念に思ってしまいます。
それでもこのチューリッヒの聖母教会には、シャガールが70歳代(!)に手がけた美しいステンドグラスや、わずかながらに残る中世のフレスコ画など、見どころはしっかりあります。
入場料は5スイスフランほど必要ですが、入場時に貸し出される日本語対応のオーディオガイドが充実しているので、予備知識がなくても楽しめますよ。
cianaでした。